Langflow Windows環境向け インストールガイド (uv利用版)

このガイドでは、Windows環境でLangflowをスムーズにインストールするための手順を説明します。複雑な依存関係の解決に長けた uv というツールを利用することで、一般的なインストール時の問題を回避しやすくなります。

はじめに

Langflowは、LLM(大規模言語モデル)アプリケーションを視覚的に構築できる非常に魅力的なツールです。しかし、その多機能さゆえに多くのライブラリに依存しており、ローカル環境へのソースからのインストールは時として困難を伴います。このドキュメントは、私がLangflowをインストールしようと試行錯誤した結果に確立したインストール手順です。

この記録が、同様の問題に直面している方々の一助となれば幸いです。

前提条件

  • Windowsオペレーティングシステム
  • Pythonがインストール済みであること(本ガイドではPython 3.13.3を例としますが、Langflowがサポートする他のバージョンでも同様です。例: Python 3.10.x, 3.11.x, 3.12.x)。
  • コマンドプロンプトまたはPowerShellの基本的な操作知識。

ステップ1: C++ビルド環境の準備

一部のPythonパッケージ(例: numpy)は、インストール時にC++コンパイラを必要とすることがあります。

  1. Microsoft Visual Studio Build Toolsをインストールします。
    • Visual Studioダウンロードページにアクセスします。
    • 「ツールとコンポーネント」セクションを探し、「Build Tools for Visual Studio」をダウンロードしてインストーラーを実行します。
    • インストーラーが起動したら、「ワークロード」タブで「C++によるデスクトップ開発」を選択し、インストールします。
    • インストール後、PCの再起動が必要な場合があります。

理由:

numpyなど一部の依存パッケージがソースからビルドされる際、C++コンパイラが必要になるため。

ステップ2: Rust開発環境の準備

同様に、tokenizers のようなパッケージはRust開発環境を必要とします。

  1. Rust (rustup) をインストールします。
    • Rustの公式サイト (rustup.rs) にアクセスし、Windows用のインストーラー (rustup-init.exe) をダウンロードして実行します。
    • 画面の指示に従ってインストールを進めます(通常はデフォルトの「1) Proceed with installation (default)」を選択)。
    • インストール完了後、開いているコマンドプロンプトやPowerShellのウィンドウをすべて閉じ、新しいウィンドウを開いてください。これにより、環境変数PATHが正しく読み込まれます。
    • 新しいターミナルで rustc --versioncargo --version を実行し、バージョン情報が表示されれば成功です。

理由:

tokenizersなど一部の依存パッケージがビルドされる際、Rust開発環境が必要になるため。

ステップ3: Python環境の準備とツールの最新化

Langflow用に独立したPython環境(仮想環境)を用意することを強く推奨します。これにより、他のPythonプロジェクトとの間でパッケージの衝突が起きるのを防げます。

  1. 仮想環境の作成と有効化:

    お好みの方法で仮想環境を作成し、有効化してください。(例: コマンドプロンプトで python -m venv myenv を実行後、myenv¥Scripts¥activate を実行)

    このガイドでは、以降のコマンドは仮想環境が有効化された状態で実行することを前提とします。仮想環境が有効になると、プロンプトの先頭に (myenv) のように環境名が表示されることが多いです。

  2. Pythonとpipのバージョン確認 (任意):

    仮想環境が正しく有効化されているか確認します。

    (myenv) > python --version
    Python 3.13.3 # (例: あなたのPythonバージョンが表示されます)
  3. pip、setuptools、wheelのアップグレード:

    基本的なパッケージインストーラーとビルドツールを最新版にアップグレードします。

    (myenv) > python -m pip install --upgrade pip setuptools wheel

    実行例:

    Requirement already satisfied: pip in ...
    Collecting pip
      Using cached pip-25.1.1-py3-none-any.whl.metadata (3.6 kB)
    Collecting setuptools
      Using cached setuptools-80.9.0-py3-none-any.whl.metadata (6.6 kB)
    Collecting wheel
      Using cached wheel-0.45.1-py3-none-any.whl.metadata (2.3 kB)
    Using cached pip-25.1.1-py3-none-any.whl (1.8 MB)
    Using cached setuptools-80.9.0-py3-none-any.whl (1.2 MB)
    Using cached wheel-0.45.1-py3-none-any.whl (72 kB)
    Installing collected packages: wheel, setuptools, pip
      Attempting uninstall: pip
        Found existing installation: pip 25.0.1
        Uninstalling pip-25.0.1:
          Successfully uninstalled pip-25.0.1
    Successfully installed pip-25.1.1 setuptools-80.9.0 wheel-0.45.1

ステップ4: uv のインストール

uv は非常に高速なPythonパッケージインストーラーおよびリゾルバーで、複雑な依存関係の解決に優れています。

  1. uvをインストールします:

    PowerShellを開き、以下のいずれかのコマンドを実行します。

    • 公式インストーラー (推奨されることが多い):
      powershell -ExecutionPolicy ByPass -c "irm https://astral.sh/uv/install.ps1 | iex"
    • pipを使用:
      pip install uv
  2. PATHの設定:

    uv がインストールされると、通常その実行ファイルがあるディレクトリ(例: C:¥Users¥your_username¥.local¥bin)を環境変数 PATH に追加するよう指示が表示されます。指示に従ってPATHを設定してください。

    例えば、PowerShellで以下のようなコマンドを実行します(実際のパスはインストール時の指示に従ってください)。

    $env:Path = "C:¥Users¥your_username¥.local¥bin;$env:Path"

    設定後、新しいPowerShellウィンドウを開いて uv --version を実行し、バージョン情報が表示されれば成功です。

ステップ5: Langflowのインストール (uvを使用)

準備が整ったので、uv を使ってLangflowをインストールします。

  1. 仮想環境が有効化されていることを確認してください。
  2. 以下のコマンドを実行します。
    (myenv) > uv pip install langflow

    実行例 (Python 3.13.3 環境):

    Using Python 3.13.3 environment at: ...
    Resolved 456 packages in 1.93s
          Built webrtcvad==2.0.10
          Built chroma-hnswlib==0.7.6
          Built jiter==0.5.0
          Built clickhouse-connect==0.7.19
          Built cassandra-driver==3.29.2
          Built numpy==1.26.4
    Prepared 61 packages in 54.94s
    Uninstalled 1 package in 119ms
    Installed 456 packages in 4.01s
     + ag2==0.3.2
     + aiofile==3.9.0
    ... (多数のパッケージがリストされます) ...
     + langflow==1.4.2  # (インストールされるバージョン例)
     + langflow-base==0.4.2 # (インストールされるバージョン例)
    ... (さらに多数のパッケージ) ...
     + zstandard==0.23.0

    (パッケージの数やバージョン、ビルドされるパッケージは、Langflowのバージョンやその時の依存関係によって変わることがあります)

ステップ6: Langflowの実行

インストールが無事に完了したら、Langflowを起動してみましょう。

  1. 以下のコマンドを実行します。
    (myenv) > langflow run
  2. ターミナルに以下のようなメッセージが表示されるはずです。
    ╭─────────────────────────────────────────────────────────────────────────╮
    │                                                                         │
    │  Welcome to Langflow                                                    │
    │                                                                         │
    │  🌟 GitHub: Star for updates → https://github.com/langflow-ai/langflow  │
    │  💬 Discord: Join for support → https://discord.com/invite/EqksyE2EX9   │
    │                                                                         │
    │  We collect anonymous usage data to improve Langflow.                   │
    │  To opt out, set: DO_NOT_TRACK=true in your environment.                │
    │                                                                         │
    │  🟢 Open Langflow → http://127.0.0.1:7860                               │
    │                                                                         │
    ╰─────────────────────────────────────────────────────────────────────────╯
    
  3. Webブラウザを開き、表示されたURL(通常は http://127.0.0.1:7860)にアクセスします。Langflowのユーザーインターフェースが表示されれば、インストールと起動は成功です!

これで、Windows環境へのLangflowのインストールは完了です。お疲れ様でした!
もし途中で問題が発生した場合は、エラーメッセージをよく読み、各ステップが正しく完了しているか確認してください。